2006年 03月 07日
課題曲選曲のためのアドバイス(2006) |
依頼されて書いた物です。
ⅡとⅢのみですが、アップしておきます。
Ⅱ 吹奏楽のための一章/堀内俊夫
様々な楽器(Fl.,Ob.,Cl.,A.Sax.,Tp.,Hr.,Euph.)によるソロが多用されており、個人技が要求されます。また、セクションとしてもSax.及び低音群のレベルが高いことが望まれます。ただ、メトロノームで練習や合わせが出来る箇所が多く、生徒だけの練習でも一定の成果を期待できますし、前述したパートが上手なバンドであれば、逆に如何なくバンドの実力を発揮できるとも言えます。
新古典的、室内楽的といった印象です。また、金管群に休符が多いことからも、自由曲にシリアスな作品やスタミナ的にタフな曲を選ぶ場合は、この課題曲を選択するというのも効果的でしょう。
練習の進め方ですが、曲中に頻出する「・」や「>」に“惑わされない”譜読みが必要です。まずは表現記号を取り払い、全ての音を正しい(短くない)音価で演奏出来るようにしないと、ただでさえサウンドの薄い曲を更に貧相にしてしまう危険性があります。
曲作りにおいては、やはりオーケストレーションの薄い部分を如何に克服するかがカギでしょう。ただ、「薄い=演奏人数が少ない=生徒だけで気軽に合わせが出来る」という方程式を成立させることが出来れば、ウインドアンサンブル的な好演を十分に狙える曲だと思います。
Ⅲ パルセイション/木下牧子
音が厚くソロも少ないので、個人技に対する依存度はⅡに比較して遥かに低くなります。引き換えに、音楽的にもバンドがしっかりと鳴ることが要求される(曲中にfffが現れるのはⅢとⅤのみ)ので、必然的に金管奏者にとっては「キツい」曲です。自由曲でもスタミナを必要とする曲を選ぶ場合は注意して下さい。また、現代音楽的にシャープな表現力が求められるため、打楽器パートはⅠとは違う意味で難しいと思います。
練習のポイントですが、なんと言っても“緊張感のあるテヌート”を表現出来るようにすべきです。個人練習をするのみに留まらず、全体の基礎合奏できちんとコア(音の中身)のあるサウンド作りをしておけば、この曲の曲作りは大幅にスムーズになるはずです。
サウンドやハーモニーは多少汚いがガッツならあるというバンド ここにカテゴライズされる初~中級バンドはかなり多いと思います にはもってこいですし、楽曲としての完成度の高さに鑑みてもこの曲を取り上げるバンドは多いと思われますが、取り組み易さの反面、曲作りにおいては指導者の強いリーダーシップが必要です(生徒だけではこの曲を理解・消化することは難しいですし、大抵の場合、生徒達はこの曲が嫌いです)。指揮も難しいので、この曲を選択する場合は確実なアナリーゼが不可欠となるでしょう。
(磯崎政徳/バンドディレクター)
ⅡとⅢのみですが、アップしておきます。
Ⅱ 吹奏楽のための一章/堀内俊夫
様々な楽器(Fl.,Ob.,Cl.,A.Sax.,Tp.,Hr.,Euph.)によるソロが多用されており、個人技が要求されます。また、セクションとしてもSax.及び低音群のレベルが高いことが望まれます。ただ、メトロノームで練習や合わせが出来る箇所が多く、生徒だけの練習でも一定の成果を期待できますし、前述したパートが上手なバンドであれば、逆に如何なくバンドの実力を発揮できるとも言えます。
新古典的、室内楽的といった印象です。また、金管群に休符が多いことからも、自由曲にシリアスな作品やスタミナ的にタフな曲を選ぶ場合は、この課題曲を選択するというのも効果的でしょう。
練習の進め方ですが、曲中に頻出する「・」や「>」に“惑わされない”譜読みが必要です。まずは表現記号を取り払い、全ての音を正しい(短くない)音価で演奏出来るようにしないと、ただでさえサウンドの薄い曲を更に貧相にしてしまう危険性があります。
曲作りにおいては、やはりオーケストレーションの薄い部分を如何に克服するかがカギでしょう。ただ、「薄い=演奏人数が少ない=生徒だけで気軽に合わせが出来る」という方程式を成立させることが出来れば、ウインドアンサンブル的な好演を十分に狙える曲だと思います。
Ⅲ パルセイション/木下牧子
音が厚くソロも少ないので、個人技に対する依存度はⅡに比較して遥かに低くなります。引き換えに、音楽的にもバンドがしっかりと鳴ることが要求される(曲中にfffが現れるのはⅢとⅤのみ)ので、必然的に金管奏者にとっては「キツい」曲です。自由曲でもスタミナを必要とする曲を選ぶ場合は注意して下さい。また、現代音楽的にシャープな表現力が求められるため、打楽器パートはⅠとは違う意味で難しいと思います。
練習のポイントですが、なんと言っても“緊張感のあるテヌート”を表現出来るようにすべきです。個人練習をするのみに留まらず、全体の基礎合奏できちんとコア(音の中身)のあるサウンド作りをしておけば、この曲の曲作りは大幅にスムーズになるはずです。
サウンドやハーモニーは多少汚いがガッツならあるというバンド
(磯崎政徳/バンドディレクター)
by ISOZAKI_Masanori
| 2006-03-07 06:31
| 1. 吹奏楽